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【今週のPowerPush】女子高生が、フードコートでしゃべるだけ! それなのに、どうしてこんなに楽しい気持ちになるのだろう……性格も外見も正反対、通う学校も違う二人が放課後、ショッピングモールで過ごす日常を描いた『フードコートで、また明日。』で、”女子の友情”の奥深さを学びたいと思います

 

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

突然ですが、筆者がよく行く定食屋さんは「かつ丼」と「中華そば」が二大人気メニューで、どちらも絶品です。そこで、大抵のお客さんは「かつ丼(小)」と「中華そば(小)」を同時に注文することで、裏メニュー「半そば半かつ丼セット」を作り上げていたりします。おもしろいことに、それらを交互に食べると、それぞれを単品で頼んだ時以上に美味しく感じたりするのです。

 

本日ご紹介する作品を読んだ時、筆者の脳裏になぜか思い浮かんだのは、その「半そば半かつ丼セット」のことでした。タイプの違う二人の主人公の魅力がそれぞれ大爆発しており、さらにその二人がお互いの魅力を引き立てあってもいる。そんな作品です。特に事件は起こらないけどひたすら面白い“日常系”漫画『フードコートで、また明日。』を本日はご紹介します。

 

 

※『フードコートで、また明日。』の第1話〜第5話はこちら↓から読むことができます

フードコートで、また明日。 - Webで漫画が無料で読める!コミックNewtype

 

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

一見おしとやかで、「優等生っぽい」「お嬢様って感じ」と評される和田さん。一方、派手な髪型と日焼けした肌のために「ギャル」と見なされ、周囲から怖がられる山本さん。二人は別々の学校に通う高校生です。

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

そんな二人は、放課後にショッピングモールの中のフードコートでだらだら駄弁るのが日課なのです。(ちなみに作中では明記されていませんが、宮城県の「イオンモール名取」がロケ地になっているようです)

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

清楚な外見とは裏腹に、ソシャゲに熱中し、常に暴言を吐いてSNSが頻繁に炎上、自分と同じキャラを推すアカウントは全てブロックしているというなかなかトガッた性格の和田さん。

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

一方、派手な外見な山本さんはSNSを全くやらずスマホでは「英会話のアプリ」と「都市伝説系のYouTube」をよく見ているという結構変わった趣味の持ち主です。

 

実はこの二人、中学時代の同級生。中学校で、あることをきっかけに話すようになった二人は、別々の高校に進学した今でも、放課後にはフードコートで待ち合わせてだらだらとした時間を共に過ごしているのでした。

 

 

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

『フードコートで、また明日。』その最大の魅力は、”テンポの良い無駄話”が次々と繰り出される点に尽きます。どの回も実のある話は全然していないのですが、なめらかになめらかに進んでいく二人の会話はストレス無く読み進めることができ、むしろいつまでも読んでいたいと思わせてくれます。会話の途中で急に話題が変わったりもしますが、それも"気心の知れた相手との会話"ならではって感じで良いですよね。

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

そして和田さんと山本さんの友情が実に良いのです。学校では決して友達が多いわけではない二人。しかし、放課後のフードコートではお互いに素の自分をさらけ出せる相手がいる……何と素晴らしいのでしょうか。そう、友達とは数ではないのです! 友達が多くない人間(筆者)を勇気づけてくれる作品でもあります。笑

 

和田さんと山本さんの関係性は、変にベタベタしていないところがとても好ましいと思います。お互いに結構な悪口も言い合うし、時にはケンカもする。共通の趣味があるわけじゃないし、そもそも性格も全然似てない。でもお互いがお互いにとってのベストフレンドなのは読んでいるとはっきり伝わってきます。

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

「女子の友情」とは、筆者(男)にとってはその実態を掴むことができないものであり、ある意味「憧れ」を感じるものでもあったりします。相手に彼氏ができそうな時にはどうするか、喧嘩した時はどう仲直りするか、相手がソシャゲ廃人になってしまったらどうリアクションするのか……。その独特の”間合い”のようなものの一端に触れることができる漫画が本作かな、と思います。

 

「1巻」というような巻数の表示はありませんでしたが、「シーズン2」の連載がすでに決まっているという本作。続きも楽しみに待ちたいと思います!