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【知られざる名作】大学進学のために福岡から上京したヒロインは、うっかりミスから映画サークルの先輩(男)とルームシェアすることになってしまって…!? 恋愛漫画の名手・犬上すくね先生が優しく描くキャンパスライフ・ラブコメディ『バターナッツ!』の甘酸っぱさがすごい!

 

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

もうすぐ4月。進学や就職に伴い、新しい環境で暮らし始める方も多いのではないでしょうか。本日はそんな「新生活」からスタートする物語をご紹介します。

2014年から2015年にかけて『サンデーGX』で連載された、犬上すくね先生の作品『バターナッツ!』(小学館、全2巻)です。

 

これから大学に進む予定がある方はもちろん、筆者のように学生生活にロクな思い出がなくて「せめて漫画の中だけでもキラキラしたキャンパスライフを疑似体験したい!」と思っている人にも強くお薦めしたい作品です!

 

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

『バターナッツ!』はヒロイン・藍河 りょうが大学進学のため、福岡から上京するところから始まるお話です。りょうは、大学の学生専用掲示板で出会った「ちひろ」さんとルームシェアすることに決め、希望を胸に東京へと出発します。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

新学期が始まるまで実家に帰っているという「ちひろ」さんは不在でしたが、りょうは一人で引っ越し作業を済ませ、いざ大学へと向かいます。何かサークルに入りたいと思っていたりょうでしたが、強引な勧誘活動に気後れし、なかなか入りたいサークルを見つけることができずにいると……そこに優しく声をかけてきたのが、映画制作サークル「バターナッツ」の部長でした。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

映画のことは全然わからないりょうでしたが「何もわからないから面白いんじゃない。これから知っていくことがどれだけあるか、わくわくしない?」という部長の言葉に勇気づけられ、「バターナッツ」の上映会に参加……そして入部を決めます。新歓コンパでは同じ学部の友人もできて、いいことずくめでした。ただひとつの不安要素は、突然現れた「副部長」の男が何かイヤミな男だったということだけ。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

新歓コンパから帰ってきたりょう。すると、何と自分の部屋にさっきのイヤミな副部長が帰宅してきます。りょうが学生専用掲示板でやりとりしていた「ちひろ」は、バターナッツの副部長・柿山 千聖だったのです。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

お互いに、相手のことを「自分と同性だ」と勘違いしていた二人。自分の写真を送り合ってはいたのですが、千聖は携帯電話が古すぎて写真を開けず、りょうは写真に写っていた別人のことを「ちひろ」だと思いこんでいました。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

引越し費用や家賃のことを考えると、ルームシェアを解消するわけにはいかない二人。そこで、「お互いの生活に一切干渉しない」という取り決めを行い、家具などをことごとく二分割して暮らし始めるのですが……

 

 

 

『バターナッツ!』は、『東京No Vacancy』や『蛇沢課長のM嬢』など、恋愛漫画の名作を数多く生み出してきたベテラン・犬上すくね先生による作品です。犬上先生の恋愛漫画は、男キャラ・女キャラそれぞれの心情にしっかりと寄り添った作品が多く、本作も「最初はいがみ合っていた男女が次第と惹かれ合っていく」という古典的なストーリーではありますが、りょうと千聖それぞれの想いが丁寧に描写されているため読者を一瞬も退屈させることなくクライマックスへと向かっていく作品です。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

また、実在する大学の映画サークルに取材して描かれている作品ということもあり、映画制作の過程がかなり丁寧に描かれているのも特徴的です。主題はあくまでもラブコメディですが、登場人物たちの行動にかなりの現実味があって、「もし映画サークルに入ったらこんな感じの大学生活を送るんだろうな〜」と自然に思える漫画だと思います(もちろん実際のところはわかりませんが……)。

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犬上すくね『バターナッツ!』(小学館)1巻より

主に青年誌で活躍されていることもあって、犬上先生の漫画は大人の恋愛関係(?)を描いたものが多く、いわゆる”肌色成分”が多めの作品もありますが、本作は少年誌でも充分行けるような優しく健全な作品で、恋愛に不慣れな大学生たちの甘酸っぱい青春が描かれているので老若男女に広くお薦めできる漫画と言えると思います。全2巻で綺麗に完結しているため読みやすいところもお薦めポイントです。春から新生活を始める方も、そうでない方も、本作でぜひ”大学生の新生活”を疑似体験してみてはいかがでしょうか。