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【週末イッキ読み推奨】異常なほどの情熱で映画を偏愛するアラサーOL・木根さんが、マシンガンのように愛と怨念をぶちまける! 「1人で」と言いつつ道連れ(?)の仲間がどんどん増えていく『木根さんの1人でキネマ』は、好きなものを好きと言うことの大切さを教えてくれる(多分)!

 

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

皆さんには、「知人や同僚には秘密だけど、実は『これ無しでは生きられない!』というぐらいハマっている趣味」ってありますか? たとえば筆者の場合、家に何千冊も漫画があることとか、本屋さんに行くたびに両手で抱えるぐらいの漫画を買っちゃうこととかは、ごく一部の友人しか知らない(はず)です。

 

大人気作品『木根さんの1人でキネマ』(白泉社、8巻まで発売中)の主人公・木根さんは、会社では一般人のように擬態しつつ、実は質・量ともに異常な鑑賞を行っているゴリゴリの映画マニア。そんな木根さんが全身全霊で映画のためにのたうち回る本作の魅力を本日はご紹介していきます。

 

 (※最新刊の8巻が何と『本日』発売されたのですが、筆者はこの記事を書いている時点でまだ8巻を購入・読了できておらず……この記事は「7巻までの内容」に基づくものとなります。ご了承ください)

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

木根 真知子は、一人暮らしをしている30代(「アラサー」という表記があるので多分30代前半……ゴジラ編でちょっと怪しくなるけど……)の会社員。趣味は映画鑑賞で、ブログ「1人でキネマ」に歯に衣着せぬ感想を書くのが日課のようになっています。

 

木根さんの映画原体験は、子どもの頃に兄と一緒に観た、日曜洋画劇場の『ターミネーター』。その強烈な面白さによって何かに目覚めた木根さんは、それから人が死んだり、血が飛び散ったり、爆発したり、ドンパチしたり、人が死んだりする映画ばかり見るようになってしまったのです。

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

しかし悲しいかな、血なまぐさい映画を好んで鑑賞する木根さんと趣味を共有できる仲間はなかなか現れず……木根さんは、表向きはまるでまともな社会人であるかのような「擬態」の姿で、自分が映画好きであることを隠しながら生きてきたのでした。

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

(なお、ネットの世界ではブログやTwitterをやっている木根さんですが、こだわりが強すぎるあまりしばしば論争になってしまい、ネットでも映画友達を見つけることができないという状況に陥っていました…笑)

 

そんなある日、ディープで偏った映画DVDが大量にある木根さんの部屋に、突然の訪問者がやってきます。それは会社の同期・佐藤さんでした。夫の不倫現場を目撃してしまった佐藤さんは着の身着のままで飛び出してきたあげく、たまたま住所を知っていた木根さんの家に緊急避難してきたのでした。

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

最初こそよそ行きの顔を作っていたものの、次第に素の感じになってしまう木根さん。話の流れで、面白いと思う映画を佐藤さんに紹介することになってしまいました。夫に裏切られたばかりのアラサー女性にお薦めするべき映画とは一体何なのか!?

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

そこで木根さんが選んだのは、まさかのバッドボーイズ2バッドだったのです。この夜、この映画を観たことが、二人の運命を大きく変えることになるとは、この時はまだ誰も知る由もありませんでした……。

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

『木根さんの1人でキネマ』の面白さは、何と言っても木根さんのぶっ飛んだ性格と映画愛に尽きると思います。「人それぞれ」なんて微塵も考慮しない、自分が感じた面白さを信じて疑わない木根さんのプレゼン力は、凄まじい破壊力を持っています。……と書くとちょっと狭量に感じられるかもしれませんが、ツッコミ担当となる、佐藤さんをはじめとする同僚たち・中学時代の同級生たちといったサブキャラクターの存在や、木根さんが中心となって巻き起こるドタバタ劇によってすごくバランスがとれた作品になっているのがすごいところです。作者のアサイ先生が映画にも人間心理にも精通しているゆえの面白さなのではないでしょうか。

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アサイ『木根さんの1人でキネマ』(白泉社)1巻より

映画でも、漫画でも何でもそうだと思いますが、誰かが面白い作品に触れた時の「面白い!」という感覚はその人の中では絶対的なもの……そして面白ければ面白いほど誰かと語り合い共有したくなるものではないでしょうか。『木根さんの1人でキネマ』は、基本的にその「面白さ」をうまく共有できない人達が織り成すコメディですが、それでも各話のラストには不思議と心あたたまる……というか、「面白い作品は自分から探しに行かなきゃな」「面白いという感情は誰かと共有したいな」というような気持ちになれるハートウォーミングな漫画です。人気作なので既に読まれている方も多いと思いますが、映画に限らず「何かを鑑賞する趣味がある人」には是非読んでみていただきたい作品なのでした。

 

第1 話の試し読みはこちら↓から

manga-park.com

 

木根さんの1人でキネマ 1 (ジェッツコミックス)