【知られざる名作】”漫画編集者の仕事と恋”を、『お迎えです。』『キスよりも早く』の田中メカ先生が描く！ 掲載誌の休刊のため連載中断していた名作がとうとう再開！ 第3巻の発売が待ち遠しくて仕方ない、甘くて爽やかな大人のラブストーリー『朝まで待てません！』は必読です！
「掲載誌の休刊」によって、好きな作品の連載が中断、あるいは終了してしまうという悲劇が稀に起こります。本日ご紹介する作品は白泉社の『AneLaLa』で連載されていたのですが、この雑誌が2017年9月に休刊してしまったために長らく連載が中断していた作品でした。
しかし！ 『LaLaDX』の2020年9月号から、とうとうこの作品の連載が再開したのです！ やったー！ 既刊2巻までなので今ならすぐに最新話まで追いつけます、お仕事系恋愛漫画の名作『朝まで待てません！』を本日はご紹介します。
大友 順平は、漫画雑誌「月刊マーチン」の編集者。しかし最近、自分が担当していた新人作家たちが、他社のライバル誌「ヤングビースト」に軒並み奪われてしまっているのが悩みの種です。
しかし、逆に「ヤングビースト」の看板作家である猪苗代 メグミ先生を口説き落として「月刊マーチン」でも連載を持ってもらうなど、順平は（冴えない風貌とは裏腹に）有能な編集者だったりするのでした。
そんな順平の担当作家を引き抜き、「ヤングビースト」で次々と開花させているのは、ある敏腕編集者だという噂でした。しかし、順平はまだその人に会ったことがありません。
ある日、猪苗代先生の仕事場に行くと、その敏腕編集者が来ているといいます。期待に胸を弾ませ、初めて対面したその人は……
水落 夕子。その人は、なんとなく中年男性を予想していた順平の想像とは異なり、若い女性編集者だったのです。
その日は猪苗代先生にとって、月刊誌の「マーチン」と、隔週発行の「ヤングビースト」の〆切が偶然同じ日にかぶってしまっていた日でした。そのため居合わせることになった二人の編集者。猪苗代先生にライバル誌より先に原稿を仕上げてもらうため、順平と夕子の「勝負」（？）が始まるのですが、順平は同時に「チャンス」とも感じていました。なぜなら、憧れの編集者・水落さんの仕事ぶりを間近で見られるのだから――。
『朝まで待てません！』は、ライバルである二人の編集者が、仕事を通じてお互いに惹かれ合っていく、お仕事系恋愛漫画です。一見クールだけど漫画への熱い情熱を持った夕子と、いつも朗らかで包容力がものすごくある順平……この二人の相性が抜群に良くて、第一話から「順平が夕子に惹かれる」のも「夕子が順平に惹かれる」のも大変納得度が高いです。これは好きになるよねー！と頷きながら読める作品なのです。
そして「サイボーグ」と呼ばれるほど完璧な仕事ぶりを見せる夕子さんが、実はめちゃめちゃ可愛い性格をしているところが本作の最大の醍醐味と言っていいのではないでしょうか。ちょっと照れ屋すぎたり、素直じゃなかったりする時もあるのですが（だがそこがいい！）、夕子さんが赤面する場面はことごとく破壊力抜群です。そして順平が怖いぐらいストレートに好意を見せていくタイプなので、どの回を読んでも二人の甘酸っぱいやりとりを読むことができて最高なのです！
作者の田中メカ先生は『お迎えです。』『キスよりも早く』などで知られるベテラン作家さんですが、本作もその持ち味である「王道ど真ん中の甘くて爽やかな恋愛描写」が炸裂している作品だと言っていいと思います。この二人の仕事も日常も「無限に読んでいたい！」と思わせてくれる作品です。去年の9月に連載再開されたので、おそらく今年の終わり頃か来年の初めぐらいには第3巻が発売されるのではないかと思うのですが、筆者はそれが待ちきれなくて電子で単話購入してしまったほどです。他作品との同時並行連載なので、刊行ペースはあまり早くならないと思うのですが、これからも少しずつ、末永く連載してほしい大名作です。
（※2巻は第8話まで収録）
