【今週のPowerPush】人類の存亡を賭けた戦いから600年後……封印されし邪神・マグ＝メヌエクが甦ったのは、どこかの海辺の田舎町！ 無邪気な少女とキモかわいい破壊神のハートフルな交流を小ネタ満載で描いた『破壊神マグちゃん』は今の少年ジャンプに絶対必要な作品です（断言）！
出ました、とうとう出ましたよ！ 『破壊神マグちゃん』（集英社）の1巻が！
筆者は個人的に、『破壊神マグちゃん』こそが今の少年ジャンプに絶対必要な漫画だと考えており、最近では月曜日の深夜0時に少年ジャンプ（電子版）が更新されると、まず目次ページで『マグちゃん』の掲載順を確認するようになってしまいました。
『マグちゃん』のファン（いわゆる「破滅使徒」）をひとりでも増やして『マグちゃん』の打ち切りを回避し、長期連載につなげることは、いわば少年ジャンプの未来を築くための崇高な使命。筆者も微力ながら『マグちゃん』の魅力を紹介しますので、皆さん、どうか『マグちゃん』1巻読んでくださいね！
今からおよそ600年前。「混沌教団」と呼ばれる謎の集団が、破壊を司る邪神を異界から召喚してしまいました。その破壊神の名はマグ＝メヌエク。混沌教団の願いに応え、破壊の限りを尽くそうとする邪神を、「聖騎士団」が何とか封印。聖なるアイテム「封印の宝珠」の中に閉じ込められたマグ＝メヌエクは、昏い海の底で長い眠りにつくことになるのでした……。
……時は流れ、現代の日本。どこかの海辺の田舎町で潮干狩りをしていた無邪気な少女・宮薙 流々が、砂浜に打ち上げられた謎の宝石を発見します。そう、この宝石こそ、マグ＝メヌエクが中に封印されている宝珠。しかも、少女はそれを潮干狩り用の熊手でうっかり壊してしまったのです。
「…封印が……解かれたか…」
禍々しいオーラと共に、600年ぶりに破壊神がその姿を現します。
現れたのは、なんだかキモかわいい姿になってしまったマグ＝メヌエク。もはや「マグちゃん」という愛称が似合う感じになってしまいました。
長い封印期間の間にすっかり衰弱してしまった破壊神は、肉体の再生、そして下等生物（＝人間）についてよく知ることを目指し、流々の家に住み着くのでした。ここから、マグちゃんと流々の奇妙で愉快な同居生活がはじまります。
この後、『狂乱』のナプタークや、『摂理』のウーネラスなど、マグちゃん同様のユルくてかわいい邪神たちが登場し、流々の日常をにぎやかに彩っていきます。
『破壊神マグちゃん』の最大の魅力、それはなんといっても一話完結形式の連載でありながら、毎週きっちりと面白いところではないかと思います。毎週、19ページの中で読者を笑わせ、時にはちょっとホロリとさせ、最後には「あー面白かった」と思わせるこの作品は、ちょっと新人作家のデビュー連載とは思えないぐらいの安定感があります。
破壊を司る邪神を主人公に据えた作品とはとても思えないほど、『破壊神マグちゃん』はハートフルな漫画です。最近、読者のメンタルを抉るような、少年向けというよりはコアな漫画ファン向けの作品が増えてきた『少年ジャンプ』誌において、『破壊神マグちゃん』のように老若男女誰にでもお薦めできる漫画は貴重な存在といえるのではないでしょうか。
漫画好きが、単行本だけではなく雑誌でも漫画を読むのは、単に「単行本化されるのが待ちきれない」という理由もありますが、いろんな連載作品を同時に読むことで相互作用・相乗効果が生まれ、より楽しめる時があるから。少年ジャンプにおいてもそんなシナジーは生まれています。たとえば『チェンソーマン』や『呪術廻戦』がとんでもない鬱展開をぶっこんできた時！ その後を受けて、月曜日の読者の魂を癒してくれる”チェイサー”的な連載作品が絶対必要なのです！ そう、まさにそんな役割を現在進行形で担っている漫画が『破壊神マグちゃん』だと言えるでしょう！
漫画雑誌の連載陣は、野球チームの打順に似ていると思います。『破壊神マグちゃん』は、少年ジャンプの四番打者になるタイプの漫画ではないかもしれません。しかし、四番タイプの選手ばかりを並べても野球には勝てないように、漫画雑誌にも「鉄壁の守備で二遊間を守り、時々盗塁もできるし、一発はないけど得点圏打率は高いショート」みたいな連載が絶対に必要だと思うのです。まさにそれが『破壊神マグちゃん』です！
少年ジャンプが新たな黄金期を築くために、『破壊神マグちゃん』は長期連載になるべきなのです！ とまあ色々書いてきましたが、1巻を読んでいただければめちゃくちゃ良い漫画であることは普通におわかりいただけると思いますので、是非読んでいただけたら……そして面白ければジャンプ本誌のアンケートに一票を投じていただけたら……と思います。マグちゃんに供物（単行本とアンケ）を捧げよ！
