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【週末イッキ読み推奨】プロ野球のスカウトマンは、高校・大学・社会人の選手のどこを見ているのか? 最先端の野球漫画『ドラフトキング』を読めば、プロスポーツを見る目が変わる!

 

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より

ご存じの通り、プロ野球には『ドラフト会議』という制度があります。日本中のプロ志望の選手たちの中から、誰を、どのような順番で指名し獲得していくのか。その作戦によって、各球団の将来の強さが決まるといっても過言ではありません。

有望な選手をリストアップするのは、球団に所属するスカウトマンたち。彼らは日本全国を飛び回り、高校生、大学生、社会人の選手たちに目を光らせているのです。

クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社、5巻まで発売中)は、そんなスカウトマンたちのお仕事を描いた本格野球漫画です。

 

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より

主人公はこの男、郷原眼力。プロ野球チーム「横浜ベイゴールズ」のスカウトマン。胴長短足でケツアゴ、髪型はブロッコリーみたいだし、たいそう口が悪く常に暴言を吐きまくり、そして時には仕事中にビールを飲むなど振る舞いも破天荒で、それはもうムチャクチャなオッサンなのですが、スカウトマンとしては超一流の男です。ちなみに下の名前は「眼力」と書いて「オーラ」と読ませます。顔に似合わぬキラキラネーム……。

 

さて、『ドラフトキング』の第1話は、ある「二番手ピッチャー」の物語からスタートします。

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より

埼玉県の「花咲徳丸高校」。球速150km/hを超す天才ピッチャー・東条を擁し、名将・佐々木監督のもとで夏の甲子園での優勝を狙っているチームです。「横浜ベイゴールズ」のスカウト陣も、軒並み東条をドラフト1位指名の候補に挙げます……ただひとり、郷原眼力を除いては

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より



郷原だけは、東条を指名せず、「花咲徳丸高校」の二番手ピッチャー・桂木を獲得するよう主張します。

エースの東条は、まっすぐとスライダーとスプリットのキレが抜群で、コントロールも良く、スタミナもある。まさに「怪物」級の選手。

一方で桂木は、130km/hに満たないストレートと、カーブとツーシームとスプリット、そのすべてが並。スカウト陣が口を揃えて「プロでは通用しない」と言うような選手です。

 

しかし結果的に、この年のドラフト会議で「横浜ベイゴールズ」は東条の指名を避け、桂木を4順目で指名。そして5年後には、桂木はオールスターゲームに出場するような、球界を代表する選手に育つのです。

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より

郷原は言います。「俺たちがやるべきことは選手の完成形を予見することだ」郷原は、「怪物」の影に隠れた二番手ピッチャーの一体どこに、プロでも通用するような将来性を見出したのでしょうか? 是非、『ドラフトキング』の1巻を読んでみてください。「なるほど、そういうことか!」と納得できるような理由がそこには描かれています。

 

『ドラフトキング』では、これ以降も、選手獲得をめぐる様々なドラマが描かれます。

  • 走攻守の3拍子が揃った、26歳の社会人選手を獲得するべきか否か
  • 他球団の敏腕スカウトマンとの苛烈な競争
  • 地方の大学リーグに隠れている、知られざる才能の発掘
  • ドラフト1位で獲得したものの、プロで伸び悩んでいる選手の再生
  • ヒジに爆弾を抱えた高校生投手がプロ入りを選ぶか、それとも進学を選ぶか

 

どれも現実世界で実際に起こりそうな出来事である上に、ストーリー漫画としても面白いエピソードばかりで、読み進めていくうちに「なるほど、そういう展開になるのか!」と唸らされることは請け合いです。

 

「横浜ベイゴールズ」スカウト部の部長、下辺(関西弁のおもろいおっちゃんです。この漫画は本当におっちゃん達のキャラが立っている!)がふと呟く、印象的なセリフがあります。

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クロマツテツロウ『ドラフトキング』(集英社)1巻より

落合博満、ドラ3。イチロー、ドラ4。工藤公康、ドラ6。誰ひとり新人王なんぞ獲っとらん。せやけど改めて考えたら、間違いなくその3人はその年のドラフトのキングや

「怪物」級のスター選手にはどの球団のスカウトマンも注目するし、上位指名する。ゆえに、どのチームでも上位指名の選手が活躍するのは当たり前のこと。だから、他球団と差をつけようと思ったら、下位指名選手下剋上に期待するしかない。スカウトマンの最も重要な仕事とは、下位指名から球界を代表するスターに成り上がる選手「ドラフトキング」を発掘することなのです。

 

現実世界においても、たとえば現在「横浜DeNAベイスターズ」の四番打者として好成績を挙げている佐野恵太選手は、なんとドラフト9位で獲得された選手でした。他球団が気づいていない良い選手を獲得することが、将来のチーム強化につながる……という好例だと思います。

 

華やかなプロスポーツの世界。その裏では、郷原のような敏腕スカウトマン達が走り回り、チーム強化のためにあの手この手を尽くしているのかもしれません。『ドラフトキング』は、読めばプロスポーツを見る目が確実に変わる、今最もおもしろい野球漫画です。

 

 

『ドラフトキング』1話の試し読みはこちら↓から

http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/draftking.html

 

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