最強おもしろ漫画紹介ブログ

自信を持ってお薦めできる漫画しか紹介しません。週3回更新。

【今週のPowerPush】女子高生が、フードコートでしゃべるだけ! それなのに、どうしてこんなに楽しい気持ちになるのだろう……性格も外見も正反対、通う学校も違う二人が放課後、ショッピングモールで過ごす日常を描いた『フードコートで、また明日。』で、”女子の友情”の奥深さを学びたいと思います

 

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成家慎一郎『フードコートで、また明日。』(KADOKAWA)より

突然ですが、筆者がよく行く定食屋さんは「かつ丼」と「中華そば」が二大人気メニューで、どちらも絶品です。そこで、大抵のお客さんは「かつ丼(小)」と「中華そば(小)」を同時に注文することで、裏メニュー「半そば半かつ丼セット」を作り上げていたりします。おもしろいことに、それらを交互に食べると、それぞれを単品で頼んだ時以上に美味しく感じたりするのです。

 

本日ご紹介する作品を読んだ時、筆者の脳裏になぜか思い浮かんだのは、その「半そば半かつ丼セット」のことでした。タイプの違う二人の主人公の魅力がそれぞれ大爆発しており、さらにその二人がお互いの魅力を引き立てあってもいる。そんな作品です。特に事件は起こらないけどひたすら面白い“日常系”漫画『フードコートで、また明日。』を本日はご紹介します。

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【週末イッキ読み推奨】月の上で孤独な粘菌が宇宙飛行士と出会う「衛星の夜」、丘の上の戦闘機をめぐる不思議な冒険「夏休みの町」……シンプルな絵で描かれる穏やかな物語が、心の奥底に眠っている感情を呼び起こす、町田洋先生の2冊の短編集『惑星9の休日』『夜とコンクリート』は絶対に絶対に読むべきです!

 

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町田洋『惑星9の休日』(祥伝社)より

イッキ読み推奨、と記事タイトルに銘打っていますが、本日ご紹介するのはたった2冊だけです。なぜなら、2013年に出版された『惑星9の休日』と、2014年に出版された『夜とコンクリート』……町田洋先生の単行本はこの2冊しか無いからです。

 

大人にも、子どもにも、漫画をよく読む人にも、そうでない人にも……ありとあらゆる人に薦めたくなるような、素敵な2冊です。どちらの短編集も漫画好きの間ではかなり有名だと思いますので、すでに読まれている方も多いとは思いますが、もし読んでない人がいたら今すぐにチェックして欲しい……そんな気持ちで今日の記事は書きました。

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【知られざる名作】”漫画編集者の仕事と恋”を、『お迎えです。』『キスよりも早く』の田中メカ先生が描く! 掲載誌の休刊のため連載中断していた名作がとうとう再開! 第3巻の発売が待ち遠しくて仕方ない、甘くて爽やかな大人のラブストーリー『朝まで待てません!』は必読です!

 

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田中メカ『朝まで待てません!』(白泉社)1巻より

掲載誌の休刊」によって、好きな作品の連載が中断、あるいは終了してしまうという悲劇が稀に起こります。本日ご紹介する作品は白泉社の『AneLaLa』で連載されていたのですが、この雑誌が2017年9月に休刊してしまったために長らく連載が中断していた作品でした。

 

しかし! 『LaLaDX』の2020年9月号から、とうとうこの作品の連載が再開したのです! やったー! 既刊2巻までなので今ならすぐに最新話まで追いつけます、お仕事系恋愛漫画の名作『朝まで待てません!』を本日はご紹介します。

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【今週のPowerPush】野球場、それは社会の重圧から解放された気分になる場所! “ヤクルトファンの25歳OL”と、”野球観戦初心者の女子大生”の2人が、様々な球場を巡りスタジアムグルメを堪能する『野球場でいただきます』は、かわいくて、でもほんの少しだけ苦い、大人の百合漫画です!

 

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出内テツオ『野球場でいただきます』(KADOKAWA)1巻より

スポーツ漫画」というと原則的には"何らかの競技を描いた漫画で、主人公はその競技の選手"、ということになると思うのですが、おそらくスポーツ漫画の読者のうち99%はプロ選手ではないと思います。「プロの試合を観戦する側の人」がきっと大多数でしょう。

 

であれば、「観戦する側の人」に焦点を当てた漫画がもっとあってもいいはずです。観戦する時の楽しみといえば? そうスタジアムグルメです。主人公とヒロインが、どちらもかわいい女性キャラであればもっといいですね。そんな勝利の方程式に完璧に一致した作品を本日はご紹介します。3月4日に第1巻が発売されたばかり、出内テツオ先生の『野球場でいただきます』(KADOKAWA)です。

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【週末イッキ読み推奨】修学旅行でフェリーから転落、目が覚めたらそこは無人島だった! 同級生の美少女と2人きりのサバイバル生活で10日間を過ごした壮太。しかし救出された壮太は、衝撃の事実を告げられ――緻密な設定と巧妙な伏線が冴え渡る、爽やかな後味のSFラブストーリー『レッツ☆ラグーン』

 

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

本日ご紹介する作品は、無人島で美少女と2人きりでサバイバル生活をする漫画です……と書くと「ああ、そういう系ね」とか思われるかもしれないのですがちょっと待って! 最後まで聞いてください! たしかに可愛いキャラは登場するのですが「頭からっぽで読める系」ではないのです。むしろ途中から全力で脳みそを振り絞らないと置いていかれるような作品へと変貌していくのです。

 

2010年から連載されていた、岡崎武士先生によるSFラブストーリーの傑作『レッツ☆ラグーン』(講談社、全6巻)を本日は詳しく紹介していきます。伏線が巧みに張り巡らされている作品なので、全巻読んでから第1巻を読み直すと「ああ! この時、実はこうなっていたのか!」と二度楽しめる名作なんですよ。

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【知られざる名作】引退して太った殺し屋はかつての敵と再会し、日本の田舎町で暮らすニワトリの親子は徒歩でフランスを目指す! まさかの”週刊”ペースで連載された名作短編11作品を収録した、『もやしもん』『惑わない星』の石川雅之先生による奇跡の短編集『週刊石川雅之』を18年越しに激推しします!

 

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石川雅之『週刊石川雅之』(講談社)より

漫画の基本は「短編」だと思います。なぜならどんな長編作品も、だいたい初出時は雑誌に”一話ずつ”載っていくので、短いページ数の中で毎回「面白い」と思わせる技術がなければ「今週面白くなかったな」となり、アンケートなどが低迷して連載が立ち行かなくなる可能性が高いからです。

 

本日ご紹介するのは、まだ『もやしもん』で大ブレイクする前の石川雅之先生が、2002年から2003年にかけてモーニング誌で「週刊連載」した11作品を収録した短編集『週刊石川雅之』(講談社、全1巻)です。「短編を週刊連載する」というだけでも物凄いことですが、ひとつひとつの短編が面白く、オチも秀逸なところに本作の最大の魅力があります。

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【今週のPowerPush】好きな人が幸せならいい、たとえ隣にいるのが自分ではなくても……深夜営業をしている新宿の喫茶店を舞台に、片想いをこじらせきった二人の大学生の日常を描く『真夜中にコーヒー』は、独特な雰囲気が読めば読むほど癖になる、変わり者たちの静かな恋愛ストーリー

 

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さわの将『真夜中にコーヒー』(講談社)1巻より

不思議な魅力を持った漫画」に時々出会います。「どんな漫画?」「どこが面白いの?」と訊かれても、とっさに答えが出てこなかったりするのですが、読み返してみてもやっぱり面白いと感じるし、続きも買おうと思うような漫画……「不思議な魅力を持った漫画」とは、言い換えれば「魅力を言葉では説明しにくい漫画」ということかもしれません。

 

本日ご紹介する作品も、筆者にとってはそんな作品です。が! がんばって言葉で(ブログで)その魅力を説明してみたいと思います。1月20日に1巻が発売されたばかり、さわの将先生の『真夜中にコーヒー』(講談社)です。

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