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【週末イッキ読み推奨】修学旅行でフェリーから転落、目が覚めたらそこは無人島だった! 同級生の美少女と2人きりのサバイバル生活で10日間を過ごした壮太。しかし救出された壮太は、衝撃の事実を告げられ――緻密な設定と巧妙な伏線が冴え渡る、爽やかな後味のSFラブストーリー『レッツ☆ラグーン』

 

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

本日ご紹介する作品は、無人島で美少女と2人きりでサバイバル生活をする漫画です……と書くと「ああ、そういう系ね」とか思われるかもしれないのですがちょっと待って! 最後まで聞いてください! たしかに可愛いキャラは登場するのですが「頭からっぽで読める系」ではないのです。むしろ途中から全力で脳みそを振り絞らないと置いていかれるような作品へと変貌していくのです。

 

2010年から連載されていた、岡崎武士先生によるSFラブストーリーの傑作『レッツ☆ラグーン』(講談社、全6巻)を本日は詳しく紹介していきます。伏線が巧みに張り巡らされている作品なので、全巻読んでから第1巻を読み直すと「ああ! この時、実はこうなっていたのか!」と二度楽しめる名作なんですよ。

 

 

※『レッツ☆ラグーン』の第一話はこちら↓から読むことができます

レッツ☆ラグーン - 岡崎武士 / Chapter 01 | コミックDAYS

 

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

この物語の主人公、高校生の山田 壮太は、目を覚ますと無人島に流れ着いていました。記憶は曖昧ですが、どうやら修学旅行中だった模様。幸い食料は少しあるし、島内で飲めそうな水も確保できましたが、救助の船などがやってくる気配が全くありません

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

漂着から4日経っても一向に来ない救助。壮太は無人島から脱出するため、無心で木を彫って船を作り始めます。その時、ふと砂浜を見ると……何者かが自分の食料を勝手に食べていました

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

衣舞瀬 チカと名乗るその少女は、壮太と同じ高校に通っている同級生で、壮太と同じように4日前にこの無人島に漂着したのだと言います。「去年同じクラスだった」とチカは言いますが、壮太は彼女のことを覚えていませんでした。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

チカによれば、修学旅行中に乗っていたフェリーが、突如、異常に濃い霧に包まれ、さらに船底が何かにぶつかったような衝撃と音が発生。船の外に放り出されたと言うのでした。

 

お互いに協力して、無人島での生活を続けていく壮太とチカ。いつしか壮太は、チカに恋をしている自分に気づきます。しかし、このサバイバル環境で告白をしてチカを困らせるわけにはいかないと考え、好意を心の中に秘めておきます。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

……とまあ、大体そんな感じで一種のラブコメ作品のように進んでいく『レッツ☆ラグーン』なのですが、第1巻の120ページ目ぐらいから激動の展開が始まります。壮太が浜辺で魚を獲っていると、フェリー事故の時と同じような異常な霧が発生。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

壮太はその異常な霧に包まれ……次の瞬間、なぜか修学旅行で乗っていたフェリー「あさなぎ丸」が出現。壮太は船員によって救助されます。

 

船員に、まだ島にいるチカの救助を要請する壮太ですが「この周囲10kmには島なんてありませんよ」と告げられてしまいます。確かに、周辺を見渡してもあの無人島はどこにも見えません。さらに、壮太が救助されたのはフェリー事故の当日、事故の15分後のことだったのです。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

壮太の脳内には、「同級生の女の子と無人島で10日間暮らした記憶」があります。しかし、客観的に見れば壮太は「船から落ちて15分後に救助された高校生」としか見えませんでした。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

一体何が起こったのか。壮太の脳内にある記憶は、事故の混乱が見せた幻でしかないのか――。一時は自分の記憶を疑った壮太でしたが、「ある物」をきっかけに「あの無人島での10日間は現実だ」と確信を抱くようになります。そして、一体自分の身に何が起こったのかについて、ある仮説を立てるようになります。

 

 

 

『レッツ☆ラグーン』は、最初はお気楽なラブコメディのように始まりますが、次第にSFストーリーとしての様相を帯びてきます。巻が進むにつれて物語が複雑化していくので、ぼーっと読んでいるとわけがわからなくなってくるかもしれません。非常に緻密に設計された、「こんな作品をよく成立させたなあ!」と驚嘆するような漫画です。作者である岡崎武士先生や編集者などのスタッフの方々の苦労は大変なものだったのではないかと思います。

 

ただ、そんなSFストーリーとしての要素を踏まえても、本作の一番の魅力は少年少女の成長物語であり恋愛物語であるという点だと言えるのではないでしょうか。壮太君がとにかくめちゃくちゃ好感度の高い主人公で、思春期らしい悩みや葛藤なんかも抱えながら、ただただひたむきにチカのために頑張る姿が素晴らしいです。チカはチカで、天然だけど自分の芯をしっかり持っているヒロインなので、読んでいてイヤな感じが全く無いのが本作の素敵なところです。

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岡崎武士『レッツ☆ラグーン』(講談社)1巻より

少しだけネタバレをすると、本作は2巻から壮太をめぐる三角関係になっていくのですが(なんで無人島で二人で暮らしているのに三角関係になるんだ!? って思うかもしれませんが、読めばわかります)、チカだけでなくもうひとりのヒロインもすごく良い子なんですよね。いわゆる「負けヒロイン」ではあるのですが、彼女が迎えるエンディングも個人的にすごく好きなやつでした。

 

好きなシーンを挙げていくとキリがないのですが、『レッツ☆ラグーン』はのどごしスッキリ、後味爽やかなSFラブストーリーですので、安心して読んでいただけたらと思います。(刊行ペースがかなりゆっくり目な作品だったので、一気にまとめて読める方が羨ましいです…笑)

レッツ☆ラグーン(5) (ヤンマガKCスペシャル)

レッツ☆ラグーン(5) (ヤンマガKCスペシャル)

  • 作者:岡崎 武士
  • 発売日: 2018/04/20
  • メディア: コミック