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【今週のPowerPush】幼い妹と弟の学費を稼ぐため、必死で働く若手漫画家のもとに現れた神アシスタントは、宇宙からやってきた「流れ星の民」の姫だった! 『甘々と稲妻』の雨隠ギド先生最新作『おとなりに銀河』は、ふわふわでキラキラな、幸せな気持ちでいっぱいになれる”異種族婚約コメディ”だ!

 

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

アニメ化もされた大人気作『甘々と稲妻』(講談社、全12巻)の完結から約2年。雨隠ギド先生の、待望の新作が発売されました! それも2冊同時に!

 

ザ花とゆめ』誌で連載されている『ゆらゆらQ』(白泉社、1巻まで発売中)も素敵な作品ですが、本日は『good!アフタヌーン』誌で連載されているほうの作品、『おとなりに銀河』(講談社、1巻まで発売中)をご紹介します。『おとなりに銀河』は、読むと幸せな気持ちでいっぱいになれるような、大人のラブコメディなのです!

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

久我 一郎は23歳の漫画家。高卒で漫画家デビューした後、父親が他界(母親は、どうやら離婚して他の家庭を持っているようです)した彼は、幼い妹の「まち」、弟の「ふみお」を育てて大学まで行かせるため、漫画家として大いに働くことを決意。現在は漫画の原稿料と、残されたアパートの家賃収入で生活しています。

 

締切が迫る中、アシスタントたちが次々と離脱。窮地に陥った一郎は、編集者から新しいアシスタントを紹介されます。待ち合わせ場所に向かうと……

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

そこにいたのは、ミステリアスな雰囲気を纏った19歳の美女・五色 しおりでした。

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

枠線や背景を描いてもらうと、とても速くてうまい。”神アシスタント”と呼ぶにふさわしい腕前を持つしおりですが、実は漫画家を志してまだ一年目。というか、漫画をちゃんと読むようになったのがこの一年以内のことだと言います。

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

不器用な性格で、人に頼ることが苦手な一郎でしたが、「昭和に発行された漫画の教則本で猛練習した」というしおりの働きに助けられ、原稿を落とす危機から何とか脱出できたのでした。しかし……

 

修羅場を乗り越えた、徹夜明けの二人に起こったある事故をきっかけに事態は急展開。詳細な説明は省きますが、一郎は宇宙を見ることになります。

 

よくよく話を聞いてみると、しおりは宇宙から流れ着いた「流れ星の民」の末裔なのだと言います。流れ星の民たちが暮らす島「喚姫島」は、かつては彼女の祖母が、そして現在は母が統治しており、しおりは流れ星の民の姫なのだ、と。

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

ある事故が起こってしまったため、流れ星の民のしきたりに従うならば二人は結婚しなければいけないとしおりは言います。しかし、事故による婚姻を望まない彼女は、色々あって一郎が大家を務めるアパートに入居することになるのでした。「まずは恋愛から」と――。こうして、宇宙人の姫と売れない漫画家の奇妙な婚約生活が始まったのでした。

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

『おとなりに銀河』は”すこしふしぎ”な大人のラブコメディといえる作品ですが、特筆すべきはそのふわふわでキラキラな唯一無二の世界観。連載最新話まで読みましたが、主役の二人をはじめとして誰ひとり「イヤなキャラクター」が出てこない、とても優しい世界で物語が進んでいきます。ちびっ子たちも含め、他人のことを考えて行動できる人たちばかりが登場するので、ストレスゼロで読み進めることができるんですよね。ああ、現実世界もこうであったらいいのに!

 

ヒロインの五色 しおりさんは、第1話こそ「クールで謎多き美女」みたいな感じで登場しますが、読み進めていくうちに「あれっ……この人もしかして、単に性格の良い漫画オタクの人なのでは……」となっていくところが大変素敵です。もちろん「流れ星の民の姫」というSF設定はあるのですが、漫画大好きキャラなところが良いですし、何より変な駆け引きや隠し事をせず、思いを素直に伝える性格なところにとても好感が持てます。

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雨隠ギド『おとなりに銀河』(講談社)1巻より

もうひとりの主人公、久我 一郎さんについても、不器用な性格の頑張り屋さんということで多くの読者に愛されるタイプの人ではないでしょうか。例えば『2.5次元の誘惑』の奥村くんのような、真の意味で他人を思いやれる「模範的なオタク男子」という感じでこちらも大変好感が持てる人です。つまりこの二人は読んでいて気分の良いナイスカップなんですよね。

 

冒頭でも書きましたが、『おとなりに銀河』は読んでいて幸せな気持ちでいっぱいになれる漫画です。おそらく心身共に極限まで疲れきった夜でもこの漫画ならするする読めると思います。そして1巻および現在までの雑誌掲載分を読む限り、2巻は1巻以上にピュアで甘々な展開が期待できると言っていいでしょう! 続刊がとても楽しみです!