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【年末年始特別編】おもしろい読切漫画が無料で読みたい? だったらジャンプ+を見ればいいんだよ! “才能の独占禁止法”にそろそろ抵触しそうな勢いのジャンプラから、2020年に掲載された読切の中で個人的にお薦めしたい16作品を一気に紹介します!

 

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紅木春『片腕のエイミー』(集英社少年ジャンプ+」掲載)より

集英社のアプリ「少年ジャンプ+」では、年間150本〜170本程度の読切漫画が掲載されています(参照:少年ジャンプ+で読み切りが次々バズる理由を編集長に聞いてみた | アル)。新人からベテランまで幅広い作家陣が起用され、才気溢れるトガッた作品が多いのがジャンプラ読切シリーズの特徴。

 

本日は、2020年にジャンプ+で掲載された読切作品の中で、筆者が個人的に好きだった作品をゴリゴリと紹介していきます。現時点で全て「無料で読める漫画」なので、まだ読まれていない作品があれば年末年始に是非チェックしてみてくださいね。

 

 

●緋坂鏨『お願いペンダント』2020.1.4掲載

お願いペンダント - 緋坂鏨 | 少年ジャンプ+

叶わない願いなど無い、ただし代償を厭わなければ――。願いを何でも3つ叶えてくれる不思議なペンダント、しかし、「望んだ通りに」願いが叶うとは限らないのが恐ろしいところ。怪奇小説猿の手』をモチーフにした物語ですが、見開きページで読者を恐怖のドン底に突き落とすシーンがすごく鮮やかでした。

 

 

●松本陽介『その淑女は偶像となる』2020.1.30掲載

その淑女は偶像となる/読切版 - 松本陽介 | 少年ジャンプ+

祝・連載化! 一度はアイドルを辞めた少女が、ひとりの現役アイドルとの出会いによって再起し、トップアイドルを目指し始める熱血青春物語です。この『読切版』が、ほぼそのまま『連載版』の第1話として使われたことからも完成度の高さがわかるというものです。画面から溢れるほどの情熱が伝わってきます

 

 

横槍メンゴ『狼になりたい』2020.4.13掲載

狼になりたい - 横槍メンゴ | 少年ジャンプ+

メンゴ先生の短篇漫画は読者の心を鋭く抉って致命傷を与えるような作品が多いですが、本作もまさにそれ。何者にもなれなかった自分、憧れの存在とは真逆な自分、望まないキャラで生きていくしかない自分……「自分」を諦めてきた主人公が最後にどういう未来を選ぶのか。短いけれど大きな余韻が残るお話です。

 

 

●中田祐樹『ともだち結婚』2020.7.6掲載

ともだち結婚 - 中田祐樹 | 少年ジャンプ+

現代日本を舞台に、既存の枠組みに囚われない関係性を模索するヒューマンドラマ……と一言で言ってしまえば簡単ですが、「『テンプレートに囚われない関係性』のテンプレート」に囚われない話なので、何というか少し据わりが悪く感じられるかも。でも、別に社会(読者)の顔色を窺う必要なんてないと思います。

 

 

●遠山花近『ドクターマーメイド』2020.8.7掲載

ドクターマーメイド - 遠山花近 | 少年ジャンプ+

天才の犯行です。『チェンソーマン』をさらに狂気を強める方向へ振った感じの作品だと思います。序盤の展開でいきなりぶん殴られたような衝撃を受けると思いますが、それ以降、最後のページまでずっとぶん殴られ続けます。こんな漫画見たことないです。色々な意味でヤバすぎる作品です。

 

 

●三ヶ嶋犬太朗『マナー・アプリオリ』2020.8.26掲載

マナー・アプリオリ - 三ヶ嶋犬太朗 | 少年ジャンプ+

まるで星新一ショートショートを読んでいるかのような、強烈な毒と風刺を含んだSF作品です。全部読んでから冒頭に戻った時の「あっ…」という感覚、背筋がゾッとすると思います。すごくよくできた構成、隙のない結末だと思いますが好みははっきり分かれると思います。筆者は好きです。

 

 

●森朝日『深室レストラン』2020.9.4-9.5掲載

[前編]深室レストラン - 森朝日 | 少年ジャンプ+

これはすごい。絵柄は華やかですが、そこで展開されるのは荒木飛呂彦先生ばりの『奇妙』な世界。「こうなるだろうな」という読者の予想を飄々と超えていく物語。オチ直前の、たった4コマで未来の世界を描いてしまう見開きは圧倒的でした。「新鮮に絶望できる君が羨ましい! 僕は慣れてしまったからなァ!」

 

 

●南野夏雄『Jack&Liar』2020.9.6掲載

Jack&Liar/第4回 アナログ部門賞 - 南野夏雄 | 少年ジャンプ+

良い意味で、読むのが「しんどい」作品です。シンプルな絵柄だけど胸の奥に突き刺さるような話です。台詞回しがまるで洋画の字幕を読んでいるようなカッコ良さです。どんなオチが来るか大体わかっていても絶対泣いちゃうやつです。予測可能回避不可能なダメージを読者に与えられるのは間違いなく才能。

 

 

●石川理武『雨の日ミサンガ』2020.10.23掲載

雨の日ミサンガ - 石川理武 | 少年ジャンプ+

先日、宇佐崎しろ先生の復帰作の原作を担当された石川理武先生の鮮烈なデビュー作。『幼い頃の自分』の姿をした幽霊が現れ、「おれの死体を探して このままじゃこどもがたくさん死ぬ」と訴えかける――。よく練られたストーリーが見事です。いじめが理由なく始まり、理由なく終わるのも何だかリアルでした。

 

 

紅木春『片腕のエイミー』2020.10.31掲載

片腕のエイミー - 紅木春 | 少年ジャンプ+

一本の読切漫画として、完璧な作品だと思います。泣いちゃう、こんなの読んだら泣いちゃうよ。非の打ち所がないストーリー、圧倒的な画力。これが無料で読めてしまうなんてジャンプ+はどうかしている。この作者さんの短編集が出たら絶対に買います。絶対に読むべき作品。

 

 

●暗森透『地球記録0001』2020.11.8掲載

地球記録0001 - 暗森透 | 少年ジャンプ+

年間ベストを一作だけ選ぶならこの作品ではないでしょうか? 宇宙飛行士・マワタリが月面で出会った宇宙生物・イオ。地球の大気に適応することができず、永遠の孤独の中にいたイオとマワタリの交流が始まります。上質な映画を観た直後のような満足感をもたらしてくれる作品でした。

 

 

●巳コ柊『地獄転校生』2020.11.9掲載

地獄転校生 - 巳コ柊 | 少年ジャンプ+

本作を「おもしろい」という言葉で評すると嘘になるかもしれません。よく練られたストーリーとは到底言えません。しかし、読む人を惹き付ける「何か」がある。ウェルメイドな物語の中には絶対無い、良い意味での「中二病」の輝きをこの作品は放っています。センスがある、としか言いようがないと思います。

 

 

●あむぱか『つづみちゃんはかわいい女の子だから』2020.11.18掲載

つづみちゃんはかわいい女の子だから - あむぱか | 少年ジャンプ+

序盤、主役の男女二人がめちゃくちゃかわいいことに驚くのですが、中盤になるとやっぱり二人がめちゃくちゃかわいく、そして終盤に至ってもどこまでも二人がかわいいのです。序盤・中盤・終盤、隙がなくかわいい。そのかわいいというのが外見だけの話ではなく、互いを想い合う二人の心がかわいいのです。

 

 

●水上湘太『VSイフリート-傾向と対策-』2020.11.21掲載

VSイフリート-傾向と対策-/2020年9月期JUMP新世界漫画賞 - 水上湘太 | 少年ジャンプ+

新人離れした完成度の高いストーリー! そして凄い画力! ツカミからオチまで完璧じゃないですか? 新人賞の作品でこんなに面白いってことがあるんですね。すごくびっくりしました。数年後、いや数ヶ月後にはジャンプかジャンプラでこの人の連載が始まっててもおかしくない気がします。

 

 

●ノッツ『本音ガールと透明ボーイ』2020.12.16掲載

本音ガールと透明ボーイ - ノッツ | 少年ジャンプ+

これ、連載で読みたいです! 『相手の本音を必ず聞き出せる』能力を持った女子高生と、『透明になれる』能力を持った男子高校生。それぞれ、えげつない使い方をしようと思えばできる能力だと思いますが、そうではなく「この能力で誰かを幸せにしよう!」という方向に舵を切るこの二人組が最高に尊いです!

 

 

●上月ヲサム『PSY&JK』2020.12.18掲載

PSY&JK - 上月ヲサム | 少年ジャンプ+

これも高校生のゆるふわ超能力物語で、ほっこり笑えて面白かったです。ちょっと稲井カオル先生に近いセンスですよね。トラックが空中に浮かんでいる時、運転手にブレーキを踏ませるのではなくエンジンを切らせるところに何か妙に感心してしまいました。(?)

 

 

冒頭で引用した記事の中で、細野編集長が「ジャンプ+の読切」がブランド化してきている旨を述べられていますが、これだけ次々と凄い才能を披露し続けていればそりゃあ”信頼と実績のジャンプラブランド”になるよなあと思います。来年もきっと面白い読切がたくさん読めることでしょう。2021年が今から楽しみです。

 

 

 

(※この記事が当ブログの年内最後の更新になります。9月末から始めたこのブログですが、たくさんの方に読んでいただけて嬉しかったです。本当にありがとうございました。来年もご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。)