最強おもしろ漫画紹介ブログ

自信を持ってお薦めできる漫画しか紹介しません。週3回更新。

【今週のPowerPush】「日本代表の正ゴールキーパーになって、ワールドカップで活躍する」という夢を叶えるため、ドイツに移籍した若きGK・神谷 蒼に襲いかかる、逆境、逆境、また逆境! どんなピンチも乗り越えていくヒーローを描いた、サッカー漫画の名手・中村尚儁による新たな王道物語『蒼のアインツ』

 

f:id:omosiro_manga:20201023221852p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

サッカー選手の中で唯一「手を使う」ことが許され、ゴール前の守備における「最後の砦」であるポジション、それがゴールキーパーです。

 

本日ご紹介する作品『蒼のアインツ』(講談社、4巻まで発売中)は、サッカーの中で最も特殊な役割を持つ選手・ゴールキーパーに焦点を当てて、サッカーの面白さ、奥深さを描いた本格サッカー漫画です。

f:id:omosiro_manga:20201023222005p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

日本の一部リーグ(現実世界では「J1」にあたるカテゴリー)のチーム「山梨」に所属するゴールキーパー神谷 蒼。高卒3年目のGKである彼は、元々はチーム内で「第3GK」という位置づけの選手でした。しかし、シーズン前に第1GKの選手が骨折で離脱、さらに開幕戦で第2GKの選手が負傷退場したことにより出場機会を掴むと、そこからものすごい活躍を見せ、山梨がリーグ戦で3位にまで登りつめる原動力となります。

 

「今年のリーグ戦で最も目立っているGK」という評価を得た蒼は、とうとう日本代表の親善試合のメンバーに招集されます。

f:id:omosiro_manga:20201023222103p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

蒼の特徴は、「攻め込まれることを恐れない」こと。むしろ、チームのピンチを自分の見せ場だと思える、強いメンタリティの持ち主。日本vsセネガルの親善試合でも、そのゴールキーパー向きの性格を遺憾なく発揮し、活躍を見せます。しかし……

f:id:omosiro_manga:20201023222146p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

来季のマンチェスター入りが決まっている、セネガル代表・イドリサの無回転シュート。その強さ・重さに蒼は対応できませんでした。

弱小校の出身で、今まで年代別代表などに招集された経験がほとんどない蒼にとって、初めて触れた「世界」の強さ

f:id:omosiro_manga:20201023222233p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

日本代表の「背番号1」を背負う正GK・真田 悠吾は、欧州の一部リーグでスタメンとしてプレーし、常に世界レベルの選手と戦っています。

他の選手とは違い、GKは必ず「1人」しかスタメンになれないポジション。日本代表のゴールキーパーとしてワールドカップに出場し活躍するためには、真田を超えるGKにならなければいけません。蒼は、欧州移籍について真剣に考えるようになります。

 

そして、いよいよ蒼のもとにドイツから移籍オファーが届きます。蒼を欲しがっているのは、ドイツ二部リーグの下位チーム・レーゲンスブルク。かつて山梨を率いたゼムノヴィッチが監督を務めています。若くて良いGKを探していたゼムノヴィッチが、古巣の選手に目を留めたのです。

 

山梨の強化部長・鏑木は移籍に反対します。「移籍先で試合に出られる保証はない。試合に出ない状態が続けば、ワールドカップの日本代表メンバーに招集される可能性も低くなるぞ」と。

しかし、蒼は移籍を志願します。なぜなら蒼の目標は、単にW杯のメンバーに招集されることではなく、W杯で「活躍する」ことだったから。

 

蒼の両親は、蒼が小さい頃に離婚しています。母親のもとで育てられた蒼は、父親や兄とは音信不通の状態になってしまっているのです。「日本代表のゴールキーパーとしてW杯で活躍し、どこにいるかもわからない父や兄も含めた家族全員を喜ばせたい」という夢が、蒼の原動力になっているのでした。

 

日本代表のスタメンを勝ち取り、W杯で「活躍する」ためには、リスクを負ってでも欧州に移籍し、世界レベルの相手と戦って成長しなければならない――そんな蒼の思いを山梨のフロントスタッフが酌んで、山梨からレーゲンスブルクへの移籍が決定しました。

決意を胸に、ドイツへ渡る蒼。そしてレーゲンスブルクのクラブハウスで告げられたのは――

f:id:omosiro_manga:20201023222327p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

 

蒼を欲しがった監督・ゼムノヴィッチが解任されたという報せでした。

 

ここから、蒼には逆境に次ぐ逆境が襲いかかります。蒼をなかなか評価しない新監督。練習中の怪我による長期離脱。ユースチームへの降格……。

しかし、蒼は次々とその逆境を乗り越えていくのです。なぜなら、ピンチこそが彼の見せ場だから。彼は類まれなリバウンド・メンタリティを持った主人公なのです。

 

無回転シュートを止められず、失点を許してしまったセネガル戦でもそうでした。先制し意気揚々と攻めてくるセネガル代表に対し、蒼の心は全く折れなかったのです。FWとGKが一対一で向かい合う大ピンチでも、蒼はこう思うのでした。

「ありがてぇ‥ ‥チャンスが来た‥ ピンチを救うチャンスが来た」と。

f:id:omosiro_manga:20201023222422p:plain

中村尚儁『蒼のアインツ』(講談社)1巻より

『蒼のアインツ』の作者は、実写映画化もされた名作サッカー漫画1/11 じゅういちぶんのいちで知られる中村 尚儁(なかむら たかとし)先生。本作でも、リアルなサッカー描写と親しみやすい絵柄でサッカーの面白さを存分に描き出しておられます。

 

「アインツ」とは、ドイツ語で「1」という意味。そして日本代表のユニフォームは、言わずと知れた"サムライブルー"。すなわち『蒼のアインツ』とは、「日本代表の背番号1=正ゴールキーパー」を意味する題名です。蒼は果たして、日本代表の守護神になることができるのか。続きを読むのが本当に待ち遠しい作品です。

 

『蒼のアインツ』第1話の試し読みはこちら↓から

蒼のアインツ - 中村尚儁 / 第1話 | コミックDAYS

 

『蒼のアインツ』コミックスの購入はこちら↓から