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【知られざる名作】毒親からの虐待に苦しむ少年。その魂を救ったのは同級生の少女だった。しかし夏休み明け、彼女の存在はクラスメイト全員の記憶から消えていて――。次々と起こる予想外の展開にページをめくる手が止まらない! 衝撃の純愛ストーリー『透明の君』全4巻、超オススメです!

 

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

「こんなことある!?」といえば、『鬼滅の刃』那田蜘蛛山編の我妻 善逸のセリフとしておなじみですが、本日紹介する漫画も「こんなことある!?」と叫びたくなるような、衝撃の展開が続く作品です。

 

季生みなと『透明の君』(小学館、全4巻)。小学館のサイト「裏サンデー」やアプリ「マンガワン」で連載され、完結巻となる第4巻が先週発売されたばかり。はっきり言います。自信を持ってお薦めできる名作です。

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

日野 正太は、父親が経営する病院の跡を継ぐため、医学部を受験し医師になるよう、両親から猛勉強を強いられている高校2年生。人並みの成績しか取れなかった時には、両親からゴルフクラブや包丁、煙草などを使って虐待されるという、異常な家庭環境で育っています。

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

身体じゅうに傷が絶えない正太。バスケ部に所属しており、来年からはキャプテンを務めるはずでしたが、勉強時間を増やそうとする両親によって無理やり退部させられてしまいます。

友人たちや教師たちも虐待について気づいていますが、正太本人が虐待を認めないため、なかなか手出しすることができません。

 

退部届を出した日、正太は「飽きて嫌いになるまでシュート打とう」と、夜の体育館に忍び込んでフリースローを続けますが、どれだけシュートを打とうとも、気持ちが晴れることはありません。

そこに現れたのが、同級生の立花 光里でした。

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

 「あたし、なんか君のことほっとけないわ」。光里は、正太が思いや考えを吐き出せる場所を作るため、二人で「交換ノート」をすることを提案。毎週月曜日、学校が終わってから正太が塾に行くまでの時間、二人は海辺で待ち合わせてノートを交換し、お互いのことを伝えるようになります。

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

それから1年間。ノートの交換を続け、少しずつ距離が縮まっていく二人。高3の春には修学旅行で京都の街を一緒に観光することもできました。光里の存在によって精神的に安定した正太は、テストでも良い結果を残せるようになり、両親からの虐待も減っていきます。

 

しかし……高3の1学期の終わり、光里は突然「引っ越し」をすることになったと正太に告げるのです。

 

ここまでが第1話〜第3話のストーリー。少年と少女の出会いから別れまでを描いたこの3話はとても叙情的で美しく、これだけでひとつの恋愛漫画として完成していると言っても過言ではないぐらいです。別れ際に、二人が一度だけ交わすキス……キスシーンでこんなに胸が苦しくなる漫画はそうそうありません。

 

しかし、『透明の君』はここから誰も見たことのない物語へと急展開していきます。

 

両親に、夏休みの間スマホを没収されてしまう正太。2学期の始業式の日になって、スマホが手元に戻ったら、光里に連絡して「ありがとう」と「好きだ」を伝えようと決意します。

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

 

しかし、始業式の日、正太が登校すると――

 

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より



クラスメイトも、教師も、誰も「立花 光里」を覚えていなかったのです。

 

皆、いつも仲良くしていたのに。一学期の最終日には送別会まで開いたのに。誰も、彼女のことを覚えていない――。

在学していた記録もなく、皆で撮ったはずの写真からは光里の姿だけがきれいに消えている。現実を受け止められず、正太は混乱します。一体、何が起こったのか? 「立花 光里」は、異常な環境にいた正太が生み出した幻だったのか?

ここからの第5話・第6話の展開が神がかっているので是非、是非読んでみてください。思わず「こんなことある!?」と叫びたくなりますが、絶対に続きが気になるはずです。(コミックスの第1巻に第6話まで収録されています)

 

この記事の冒頭にも書きましたが、『透明の君』は全4巻の作品で、完結巻となる第4巻が先週発売されたばかり。

筆者は第4巻まで全て読みました。その上で言います。この作品は信じて大丈夫です、4冊まとめて買ってください! ひとつだけ注意するなら、最終話でボロボロに泣くことになり、その後で4巻の表紙を外してカバー裏を見るともう一度ボロボロに泣くことになるので、人前では読まない方がいいですよということだけ!(なお、電子版にもカバー裏は収録されているのでご安心を)

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季生みなと『透明の君』(小学館)1巻より

「ねぇ、…なんでもない。」

この世界から消えてしまう前に、光里が言えずに飲み込んだ言葉は一体何だったのか? そして、正太は光里と再会することができるのか。今年ナンバーワン級の傑作、その結末は是非コミックスでお確かめください!